ネット不動産フロンティアノート



ネット不動産とは・・ No.7-5

当社が不動産事業部を開設し、売買仲介を中心にして不動産仲介を始めたのは、丁度5年前です。

開設祝いを兼ねて、30年来の友人が訪ねてきました。20q程離れた、人口5万都市で40年以上も不動産業を営むこの道の「大先達」、大ベテランです。

裁判所に隣接し、法律事務所が多く入居するオフィスビルの部屋ですから、ドアは頑丈な鋼鉄製でした。

友人は、訪ねてくるなり、「このドアはガラス戸にしなさい」と不動産仲介業の本質をついた一言を発しました。

不動産業者の店舗に入る時の、お客さまの「不安感」「何となく怖い感じ」を少しでも和らげるノウハウを厳しい言葉で助言してくれたのです。

室内の応接カウンターの配置やロッカーの配置についても助言をしてくれました。お客さまが、部屋全体を見渡せるような配置にすること、つまり室内の透明度・透明感を高めるという貴重なアドバイスです。

まずは売買中心の仲介業から始めるという「事業構想」を話したところ、賃貸仲介には手を出さない方が良い、よほど余裕ができるまでは、賃貸仲介には絶対に手を広げるなという「忠告」を受けました。

「開業ノウハウ」やネット不動産の「ソフトウェア」を売る立場の人からは絶対に聞くことができない、「身内の人からの忠告」として今でも、はっきり憶えています。

不動産仲介業と一くくりにいっても、売買仲介と賃貸仲介は大きな違いがあります。ネット不動産の場合も、その違いを理解し、固有のノウハウを蓄積するとともに、共通する部分についても理解を深めることが求められています。

ネット不動産・オンライン不動産についても、そのあり方や成功ノウハウについて、多くの情報発信がなされています。

しかし、その内容を良く分析・分解してみると、賃貸仲介と売買仲介の違いを意識していなかったり、賃貸仲介を前提とした論理展開であったり、売買仲介の場合だけに通用する「ノウハウ」だったりするケースが少なくありません。

かくいう自分も、フロンティアノートのバックナンバーを読み返してみると、売買仲介を頭の中に描きながら論を進めていたことが多いのに気づきます。

そこで、本項では賃貸仲介の特徴、賃貸仲介固有の分野を主要な論点にして分析を試みます。

まず、賃貸仲介の場合の地域の捉え方・絞り方です。

インターネットの利点を活用し、レインズの物件情報開示システムを利用すれば、ホームページに広い地域の大量の物件情報を掲載することは可能です。

売買仲介の場合、この利点を活用して人口500万人、あるいは3,000万人の地域の物件情報を収集し、検索エンジン広告も活用して集客に成功している会社もあるようです。

しかし、賃貸仲介の場合は、地域を絞り込み、扱い種別も絞り込むことに成功ノウハウがあるようです。

自社管理物件を多数抱えて、自社物件の管理と客付仲介だけで経営が安定している、賃貸仲介の老舗企業は別として、インターネット・ホームページで集客をしている大部分のネット賃貸仲介業者は、他社の管理物件の集客に経営基盤があるわけです。

お客さまを現地案内する前に、物元(管理会社を指す業界用語)からカギを預かるために管理会社に出向き、現地案内・室内案内を済ませると、またカギを返しに管理会社に出向かねばなりません。

一つの物件を案内するだけで、3度の手間がかかるわけです。地域を限定し、案内の効率を良くしなければ、経営として成り立たないわけです。

扱う物件の種別も絞り込むべきだとの考え方も強くなってきました。

賃貸物件の場合、シングルタイプ・ファミリータイプ・アパート・賃貸用マンション・一戸建貸家・分譲マンションの賃貸転用と種別も多く、間取りも多種・多様です。

お客さまの立場からすれば、家賃・周辺環境・学区・利用駅と、希望条件も千差万別です。

地域の絞り込みについては理解できても、物件の絞り込みについては、理解できないネット不動産の経営者は少なくないようです。

その理由としては、二つの理由があります。

一つは、多くの物件情報をホームページに載せることが、お客さまにとって役に立つ、親切なホームページだという「先入観」、「固定概念」です。

お客さまが求めているのは、自分にあったただ一つの物件なのです。多くの物件情報を載せているホームページは、「数打ちゃ当たる」という仲介業者側の自己満足的な側面が強いのではないでしょうか。

その地域の特徴に合った賃貸物件は何か、お客さまの関心・ニーズはどんな物件に向かっているのかを知らずして、物件情報の量や質を追求するだけでは通用しない時代になったようです。

二つ目の理由としては、その地域で、お客さまが求めている物件、お客さまがホームページ上で探している物件の具体像が分からなかった、分析できなかったという事情があります。

@Dream開発者の一人でもあったドリームワンの中野忠社長は、この問題を解決できるソフトを開発しました。

ドリームXと名づけた賃貸仲介専用のソフトは、何人のお客さまがホームページ上でどの物件を、何回見たかが分かる機能を備えています。

物件毎の「定量評価」が可能になったのです。駅・エリア・家賃帯・間取りについての、お客さまの傾向分析を可能にした優れものです。

物件毎のアクセス数、駅別・エリア別アクセス数、アクセスランキングが毎朝チェックできるシステムが可能になったのです。

お客さまの「物件検索行動」の「見える化」は、ホームページ運営の「見える化」を実現し、ネット賃貸のあり方を根本から変改する可能性を秘めたものと言えるのではないでしょうか。

地域の絞り込みに加えて、物件の絞り込みができれば、ネット賃貸の仕事の効率、生産性は大きく上昇します。

労働集約型ビジネスの典型であった賃貸仲介業が、知識集約型・頭脳集約型ビジネスに変化する予兆を感じます。

賃貸仲介業にとって二番目に大切なことは、大家・オーナーの変化にしっかりと対応することです。

かつては、アパートの大家・オーナーといえば「地主」に決まっていました。もともと土地を持っていて、自己所有の土地に建物を建て、相続対策も兼ねたアパート経営であり、永久保有が当然のことでした。この種のアパートオーナーは第一種族と定義できます。

賃貸不動産オーナーの第二種族は、バブル期に台頭したワンルームマンション等を金融商品・投資不動産として保有する層です。医師、弁護士、中小企業経営者が多く、節税・転売が主な目的です。

第三種族としては、「金持ち父さん…」シリーズの不動産版に刺激されて、収益物件の長期保有を目的として保有する層です。

サラリーマンを含む高所得者層で、非常に勉強熱心であり、脱サラを目標にしている人も少なくないようです。

この大家・オーナーの三分類は林流宗家を主宰している林弘明氏の区分法ですが、これからの賃貸仲介業のあり方を考える上で大事なことです。

三分類いずれに属する大家・オーナーも供給過剰・空室増大を反映して、仲介業者に対する要求は厳しくなっています。

仲介をまかされた業者が、情報の囲い込みをして、自社だけで借り主を見つけようとするような行為は、すぐに見抜かれてしまいます。

特に、第三種族と言われるオーナーは、仲介業者の集客活動・能力に対する注文は厳しいものがあります。

注文は厳しいものであっても、供給過剰の現実を反映して、決めてくれる仲介業者には、広告料・企画料の名目で1ヶ月〜2ヶ月分の仲介料を出すオーナーも少なくないようです。

しかし、第一種族のオーナーを中心として、旧き良き時代、供給不足の時代の認識から抜け出せない大家・オーナーも少なくないのも現実です。

さすがに、「礼金」などという「遺物」はほぼなくなりましたが、ハウスクリーニング代・畳替え・フスマの張り替え費用として「敷金」を実質返さない悪しき慣習は、一部にまだ残っています。

関西方面では2年毎に「更新料」として、2ヶ月〜3ヶ月分を徴収する慣習がまだ残っているようで、大阪高裁で争われています。

この問題も、消費者金融業者が「過払い返還」の集団訴訟で苦戦しているように、「更新料返還」の集団訴訟が起き、法的・社会的な圧力がなければ解決できないのかもしれません。

大家・オーナーと仲介業者の力関係からいって、仲介業者が主導的に解決できないとしても、少なくとも、今後の問題としては、「更新料」という説明のつかないお金を請求できる時代ではないことを大家・オーナーに説明する「義務」はあるのではないでしょうか。

賃貸仲介業者のホームページを訪ねるのは賃貸物件を探しているお客さまだけではありません。大家・オーナーも、しっかりとホームページをチェックする時代なのです。

地域を絞り込み、密度の高い、室内外の写真を多数載せたホームページを作成し、鮮度管理(物件更新)をしっかり行って、情報公開に徹したホームページは、必ずお客さまから認められ、支持されます。

お客さまから支持され、お客さまが多く訪ねるホームページは、大家・オーナーからも支持されるのはあたり前のことです。

大家・オーナー自らが、仲介業者の店舗を訪れ、物件の扱いを依頼する時代は、すぐそこまで来ていると言っても過言ではありません。



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