ネット不動産フロンティアノート



【第9章】ホームページの運営

9-(1) ホームページを中心とした仲介業の基本

これまで、40数回にわたりインターネット時代の不動産仲介業のあり方について書いてきました。自分自身が、仲介業について深く考えたことがなかったという事情に加えて、不動産仲介業の本質やその存立基盤について、わが国では本格的な分析や解明がほとんどなされていないことも動機の一つでした。

ましてや、世の中のビジネスのあり方を大きく変えつつあるインターネットの普及と進化に、不動産仲介業界がどう対応すべきかという喫緊の課題に本格的に取りくんだ分析や研究はまったくなされていないことも大きな動機でした。

インターネットが普及し、不動産仲介業者がホームページを利用しはじめて、まだ10年程度です。この方式・ノウハウなら必ず成功するという「成功の方程式」は残念ながらまだありません。

不動産仲介業に限らず、ビジネスの世界には「成功の方程式」などは存在しないと考えるのが正解なのです。世の中は大きく、しかも急速に変化しています。変化に対応していくだけでも大変なのに、変化を予測し、変化に備えることがビジネスの世界では求められるからです。

できること、やるべきことは、企業や業界の存立基盤を確かめ、その変化の方向を見定めることです。変化に適応するための大胆な「試行錯誤」こそが求められているのです。

失敗を恐れず、むしろ、失敗を楽しむぐらいの心構えで「試行錯誤」に挑戦する「フロンティア」・「パイオニア」を、時代は求めているのではないでしょうか。

ないものねだりの「成功の方程式」を探し求めるのではなく、小さな失敗の中から大きな教訓・ノウハウを学ぶことこそが、これから10年は続くと予想される大不況の時代の生き残り策ではないでしょうか。

厳しい時代の「戦略の本質・基本」は生き残ることです。世界経済に大不況の嵐が吹いても、日本経済が恐慌に襲われても、インターネット・ホームページという新兵器・近代兵器を手に入れ、「使いこなした」不動産仲介業者は生き残れるでしょう。

企業や事業が生き残るということは、別な言い方をすれば「敗けない」ということです。「敗けない」ことの本質は「持久戦で勝つ」ことにあります。

持久戦に勝利をおさめ、生き残った企業や人の中から、ネット不動産仲介業の勝者が現れ、大活躍をする時代は必ずやって来ると信じたいものです。

その日のために、自社のホームページの運用技術を磨き、内容を充実させ、お客さまの共感と支持を得られるホームページを創り上げて行こうではありませんか。

そんな思いで、ホームページの運営についての現在の到達点・ノウハウについて総てオープンにします。

不動産仲介業のホームページの 目的、目標は何でしょうか?

第一の目的は、賃貸にしろ売買にしろ、不動産・住宅を探している多くのお客さまにアクセスしてもらうことです。

次に大切なことは、アクセスしてもらえたお客さまに、この店舗・ホームページは品揃えも多いし、店員の接客マナーも良い、この店を通して物件探しをすることにしようという信頼を獲得することです。

売買仲介業者のホームページの運営にとって一番重要なプロセスであるこの段階でのお客さまとの関係づくり、信頼関係の構築こそが、実はホームページの最も困難な課題の一つなのです。

賃貸仲介は別として、特別な事情がない限り、仲介業者のホームページに初めてアクセスしたお客さまは、半身の構え、半信半疑の心境でアクセスしているという前提に立って考えることが正解のようです。

それほど、わが国では、この業界に対する不信感は根強いのです。

ホームページを通して、業界・業者に対する「不信感」を少しでも取り除くことができれば、その会社のホームページは、目的の大半を達成したといっても過言ではありません。

そのために必要な要素とは何か、打つべき手段は何なのか、お客さまの信頼を獲得した先にはどんな世界が見えてくるのかについて、全てをオープンにして綴ることにします。とりあえず、売買仲介業のホームページ運営を念頭に置いて書き進めます。賃貸仲介業のホームページ運営は第9章の最後に記すことを予定しています。

まずなすべきことは、ターゲットの明確化です。

不動産仲介業のホームページのターゲットは限定されたものです。まず、地域が限定されています。

限定された地域・商圏内で、不動産を購入したい人、売却したい人、賃貸物件を探している人、賃貸物件を貸したい人がお客さまです。

地域とお客さまは限定されていますが、お客さまの気持ちや考え方は多種多様です。そろそろ住宅購入を検討してみようかと考え始めたお客さまから、この学区内で来春3月までにどうしても住宅を取得したというお客さままで、お客さまの抱える事情は千差万別です。

住宅取得という方針・方向は決めたとしても、購入予算、ローン借入、どの地域で、いつまでに………、お客さまの心配や悩み迷いはつきません。そのようなお客さまの立場を理解することから、ホームページの運営は始まるわけです。お客さまのファースト・コンタクトで「このホームページは、役に立ちそうだ」と思ってもらえたら大きな第一歩を踏み出したことになります。

次に大切なことは、仲介業者としての会社が、お客さまに提供できる便益・サービスを明示することです。

ホームページ上で出来ることは限られています。質・量・鮮度の三拍子そろった物件情報の提供がホームページの基本です。ところが、この基本を守ったホームページを維持・運営することは実はかなり時間と労力のかかる大変なことなのです。

しかし、お客さまが求めているのは究極的には物件情報なわけですから、自社がエリア内の物件に関しては、品質・価格・環境・生活利便性の面で十分な情報提供をすることは、サービス業としての不動産仲介業にとっては重要な第一歩なわけです。

加えて、不動産仲介業は情報産業でもあるわけです。情報はその特質として速さが命という側面を持っています。特に、物件情報には「速さ」が決め手になる場面も少なくありません。限定された地域内の「優良物件」を探しているお客さまにとっては「速さが命」の場合もあるわけです。

「会員登録」、「希望条件登録」により、お客さまにいち速く、お客さまの条件にマッチした物件情報をメールでお届けできることもインターネットを活用した仲介業者だけが可能なサービス・便益です。この速効性・確実性・競争優位性はもっと「宣伝」しても良いことではないでしょうか。

次に、ホームページを通してお客さまに伝えるべきことは、この会社は何ができて、何ができないかをしっかりと発信することです。

お客さまが物件探しを始めてから、納得のできる物件を購入するまでには、時間もかかりますし、迷いや悩みも生じます。そんな時に、この会社はお客さまと一緒に、お客さまの立場に徹して、お客さまのためにサポートしてくれる会社だということを、しっかりと伝えることもホームページの大切な役目です。

会社にできないことも明示すべきです。

○返済能力を超えたローンを組むことなどは、もちろんお勧めできません。
○物件のマイナス面を隠すようなことも決してしません。
○架空の競争相手を「出現」させてお客さまの「決断」をせまるような行為 (業界用語で「煽」といいます)は恥ずかしくてできません。

誇りと使命感を持って仕事をする会社であることを、ホームページを通してお客さまに伝えることは、この業界では特に大切なことではないでしょうか。

お客さまが、不動産仲介業者のホームページに求めていることをはっきりと認識することもホームページの基本の一つです。

それは、鮮度の良い物件情報であり、信頼できる仲介業者を探す手がかりです。さらに、失敗しない住宅取得の知識がホームページやブログを通して入手できれば……、とお客さまは考えています。

ネットで調べ、学習し、比較することは当たり前の時代になったのです。店頭掲示、チラシ、情報誌、インターネット・ホームページと情報伝達の手段は多様化し、変化してきました。

その中で、お客さまの変化に対応できる唯一の情報伝達手法はホームページであり、メールだと断言できます。しかも、工夫しだいで、ホームページは時代が求めている「かしこい消費者」になるための対応窓口として十分に機能できる能力を備えているのです。

仲介業者が、そのホームページを通して、お客さまに求めている行動とは何でしょうか?

それは、個別物件への問い合わせのメールや電話をいただくことであり、会員登録をしていただくことです。最終的には、来店していただき、現地案内・成約するまでの段階を一歩ずづ進むことですが、まずは、ホームページを繰り返し見てもらえるリピーターになってもらうことではないでしょうか。

ホームページ運営の考え方として、物件情報の詳細について、意識的に開示しない部分を設け、お客さまからの問い合わせを誘引するという考え方があります。例えば、物件所在地の地番やマンション名を明示しないという方法です。

この考え方が、時代に合わなくなってきている、お客さまからの信頼を得られなくなっているということは、今や明白です。売り主側の事情で所在地番や写真を掲載できない場合は別として、物件情報は全てオープンにすることが、お客さまの信頼を得る第一歩であると経験上断言できます。

インターネットは時代を変え、仕事のやり方を大きく変えました。この変化を不動産仲介業にあてはめて考えると、真面目な企業や営業マンにとって、非常に仕事をしやすい環境が実現したといえるのではないでしょうか。

それは、お客さまが不動産仲介業者に求めているものと、仲介業者がお客さまに求めているものを一致させ、仲介業者とお客さまの共同作業としての「住宅購入」が可能になったからです。

つまり、インターネット・ホームページ・メールの機能を最大限に活用することで、お客さまの条件・希望に合致した住宅取得に向かった共同作業・共同プロジェクトが可能になったのです。

この変化に早く気づき、企業体質を変え、ホームページ運営のノウハウを蓄積し、発信することを時代が不動産仲介業者に求めているものではないでしょうか。

なお、第9章「ホームページの運営」では
(1) ホームページを中心とした仲介業の基本(今回の分です)
(2) 最大のテーマは信頼獲得
(3) ホームページの差別化とは
(4) ホームページによる「おもてなし」とは
(5) 賃貸仲介業のホームページの特質
を予定しています。



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